ここでは1976年「小学4年生」掲載された読み切り作品のあらすじを紹介しています。
丘けいこ

武田京子「4年2組のおじゃまむし」

'76「小4」9月号掲載


小佐田ケンと川中のぞみはおとなり同士でいつも喧嘩。
作文のことでまた取っ組合いの喧嘩をはじめた。
「のぞみのことを女じゃないとか、
 日比谷久美みたいな子こそ女の子とか」という
内容の作文をケンが書いたのだ。
家に帰ったのぞみは母親に日比谷久美(同じクラスの
美少女)をみならえといわれた。
しかしのぞみ自身も「いい子」になろうとしてはいた。
ところが母親に誤解されてしかられたことで、
やる気をうしなっていた。
そこへ「ビンに手紙をつめて海に流して文通をはじめた」
というニュースを聞き、感動するのぞみ。
或る日 日比谷久美がピアノのレッスンと掃除 当番が
重なってしまったため、悩んでいた。
のぞみは初めは代わりに掃除当番をやるのを断ったが
日比谷の顔をみると結局引き受けてしまった。
その帰宅途中、青年に道を尋ねられたのぞみは、最初
いい加減に答えて別れたが、あとで追いかけて
正確な道を教えた。
その青年に「いい子」とほめられたのぞみ。
自分の中にも「「いい子」が眠っている」ことに気づく。
しかし また翌朝 ケンと喧嘩してしまう。
ケンに「迷惑なおじゃま虫」といわれて傷つくのぞみ。
帰宅途中 川に浮かんでいるビンをみて、
家へかえってある決心をする。
それは自分の気持ちをメモ書きにしてビンにつめることで
けんかしたいのを我慢することだった。
ケンのどんなちょっかいにもメモ書きにすることでがまん
するのぞみ。
その態度を不思議がるケン・・
だがのぞみはうれしくなかった。
やがてビンはメモ書きでいっぱいになった時、
のぞみは川へビンをほうりなげる。
「わたしはおじゃま虫。。ケンのおじゃま虫!」
泣きながらケンとの幼稚園時代を思い出していた。


ところがそのビンはのぞみのクラスの男の子たちに
拾われて、ケンは以前のぞみのバッグの中にあった
ビンだと気づく。
メモ書きをみてのぞみの気持ちを知ったケンは
動揺し、「下らねえ!」ビンをほうりなげる。
ーーーーーーーー
翌朝
のぞみは「どうせいい子になれるわけがない」と
開き直り、いままでのお返しにとケンに喧嘩を売る。
だがケンはのってこない。
やがてケンも切れて取っ組み合いのけんかをはじめるが
とちゅうで止めてしまう。
その場から去るケンに執拗にけんかをしかけるのぞみ
がケンにとどめのビンタをくらい、ジ・エンド
そして。。。。
ケンから四年ぶりに風船ガムをもらい、そのやさしさに
首をかしげるのぞみだった。
そしてのぞみは夕日をみあげていた。。。。


「ママになれた日」丘けいこ

'76「小4」7月号掲載


病気で後一ヶ月しか生きられないと宣告された10才
少女 キィちゃん(希世子)。
発作を起こし、荒い息使いをしていた。
女優(桜かおる)の娘であり、私生児であったため、櫻園にあずけられて、10年間そのままになっていた。
母親を連れてこようとボロアパートに向かうBFの裕行。
だが母親は昼から酒びたりで、荒れた生活をしており、裕行の話にまるでとりあわず、「知ったこちゃないね」と拒否される。
怒りと悲しみにくれる裕行。。
--- 桜園によく来る劇団員(安部)は、その話を裕行から聞くと、一計を案じて、母親を
桜園につれてくる考えを園長に示す。
-- 安部は母親のもとへ向かい、映画のプロヂュサーになりすまし、映画主演の話をもちかける。
ただ今のままでは主演の話は難しいといい荒れた生活をやめさせるため、断酒をすること。
役柄になるためのテストを受けて合格することという条件を母親に示す。
その話にのった母親に安部はテスト用の台本を
渡す。
その内容は。。。。。
テスト場所 安部宅
病気で後一ヶ月しか生きられないと宣告された10才 少女 キィちゃん。
その看護をする母親を演出すること。
決して演技だと見破られないようにすること。
キィちゃんに会った母親は自分の前にいる子供が
実の娘だと知らず、演技をはじめた。
演技をやりづづけるうち、きよこの事が
幾度思い出される「母親」 桜かおる。
桜かおるはこうして母親としての自分を取り戻してゆく。
或る日発作を起こし、その様子を案じて
子供の親の行方を尋ねる桜かおる。
安部は「この子の母親はこの子を捨てたんだよ」。
ショックを受ける桜かおる。
やがて発作がおさまり、娘に「子守歌をうたって」と
いわれた「母親」桜かおるは。。
「月の砂漠」を歌いはじめた。。。
そしてその歌を聞きながら娘はいってしまった。。。
「娘」の死を嘆き悲しむ「母親」。。。
安部に向かって「これでテストは合格でしょう!
仕事をください! まともな女になって。。。
娘にあわなければ。。。」といって涙にくれた。。
そして安部と裕行はすべての事を告白する。
母親はあらためて娘の遺体をみた。 「神様!感謝いたします! この私を母親にしてくださって!  ごめんなさい! キィちゃん」と娘にとりすがって ふたたび母親は泣いた。 安部と裕行は天国へ行くキィちゃんの魂を見守っていた。。



土山よしき「りぼんにさよなら」

'76年8月号「小4」掲載

野球すればホームランのスポーツ万能少女の岡本さつき、
その双子の妹の内気な岡本やよい。

野球遊びをしていた杉本一平は、ホームランを打つ少女さつきと
出会う。その翌日、転校生として、一平のクラスにやってきた
やよい。一平はりぼんをしていない「さつき」と勘違いしてしまう。

体育の授業やよいは、飛び箱でころんで指にケガをしてしまう。
放課後、一平たちの野球の試合にあらわれた「さつき」は、
ホームランを打つが、指のけがを目撃される。
終了後、一平らは、「さつき」のあとを追うが途中で「やよい」に出会う。
指のけが や「さつき」の事を「やよい」に問うが、その時
「やよい」が落とした財布の中の写真をみて、驚いてしまう。
双子だったのだ。小さい頃のなかよく写っている双子の写真。。。
そして「やよい」は「さつき」姉が事故死した事を告白する。

ショックを受け気味わるがる一平たち。
しかし一平は「やよい」に対する不審感をぬぐえない。。。
「サッカー」の試合でも「さつき」はあらわられるが、
気味わるがる一平らは、仲間に入れることができず、その場を涙を浮かべて走り去るさつき。。
をみて一平は「さつき」の正体が「やよい」でないかという疑いをもつ。

その晩、やよいは事故死したさつき姉の思い出を回想していた。
・・・髪にりぼんを結ぶことで「さつき姉」へ変身することで「姉」の人格が乗り移る・・・
「姉」と同じ行動ができる。・・・
一方、一平は「さつき」の正体を確かめるためにある計画を考えた。

再び 一平たちの野球の試合にあらわれた「さつき」は またホームランをかっとばす。
そしてホームベースへもどってきた「さつき」に一平は突然キスをした!
平手打ちをくらう一平・・・

翌朝、一平は「やよい」と出会うが「やよい」は 顔を赤らめ、言葉につまり、挨拶もできず
その場から歩き去ってしまう。
一平は「さつき」の正体が「やよい」だと確信する。
しかしまだ「やよい」は、まだ猫をかぶっていたため、
今まで、だまされていた事で腹を立てていた一平は、「やよい」を学級対抗の
バレーボール大会の選手に推薦する。 内気な「やよい」は拒否できず、決定されてしまう。
バレーボール大会がはじまり、相手チームの攻撃目標にされてしまう「やよい」・・
一平はそんな「やよい」の姿に怒っていたが、やがて「りぼん」を結ばないと、
「さつき姉」へ変身することができないことに気づき、
やよいに「りぼん」のかわりに「はちまき」をわたして、髪に結ぶように言うが
やよいは 髪に結んでいる途中で、「本当は「さつき」なんて いやしない、わたしなのよ。

・・・これからりぼんがなければなにもできなくなってしまう・・」
と思い直し 一平にリボンを返す。

そして 再び バレーボール大会に臨むのだった。

       りぼんにさよなら!


あこがれ色の空をいけ! 睦月とみ 77年3月号「小4」掲載


 プロローグ
まぼろしだなんて考えなかった。
蜃気楼とも考えなかった。
陽は西に傾き、空を飛ぶ物は他になかった。
僕はそれを円盤と信じて疑わなかった。

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UFOを目撃した少年、翔男(トビィ)。
トビィは円盤がやがて自分を将来に不安がある地球からよその星へと
連れ出してくれるために来ていると思いこんだ。
足音に気づき、ふっと我に返ると女の子が一人立っていた。
「誰にも話さないで」と言って走り去っていった。

トビィには円盤の放つ光と女の子の長い髪のひるがえりがかぶさってまぶしく見えた。
思わず宙返りをはじめて、明日から何かが起こるという期待と希望をもてるようになった。

翌朝 女の子 亜美にときめくトビィ。
トビィは亜美に「円盤が地球へきたのは地球が先が長くないことを
警告しにやってきたこと、その事実を自分たちのみの秘密しておきたい」といった。

さらに学校や電車内で二人は地球に対する不安・・(ノストラダムスの予言など)を語り合った。

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ぼくらは大人が聞けばびっくりするようなくらい話をしながら、
胸のあたりには明るい・熱いものがわきおこるのを感じているんだ。
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テストの成績悪化を理由に教員室へ呼び出された二人。
そこで結婚を宣言してしまう。
あざ笑う教員達。
教員室から出てきた二人を級友たちは気遣い、
やがて二人は祝福されてクラスでの婚約式が開かれる。

婚約式で円盤が現れるのを期待するトビィ
二人は土管の中で自分たちの将来や夢を語り合う。そしてそれを円盤に任せようと思いはじめた。
しかし幾日かすぎ、円盤は中々こず、不安にかられる二人。

やがて親から叱られて、家を出てしまう二人。
出会った森でトビィは念じて円盤を呼び寄せようとするが、
亜美は「円盤は見なかった」と告白する。
見たことにしないとトビィに嫌われると思い,嘘をついたのだ。

野原の花を摘むなという先生の言いつけを破って花を摘んだところをトビィに見られたと
勘違いして、走りさったのをトビィに誤解されてしまったのだった。

トビィの頭は混乱した。
いきなり森の中をひたすら走った。

「ぼくらのほこり、ぼくらの将来、僕らのみた夢・・みんな消えた」
「ぼくはこどくだ!」・・・円盤に助けを求めるトビィ・・

トビィは転倒して、顔をあげるとそこに花があった。
それを見ると彼の心で何かが変わった。

急にかれを取り巻く人々のことがいとおしく思えてきた。
そして亜美のところへ戻ってきた。

そして二人はキスをする。
その周りを円盤の放つまばゆい光が包んでいた。


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